そもそも佐川宣寿前国税庁長官が廃棄したと国会で言い切った記録がこれほどあったことに対し、公文書管理法に詳しい右崎正博・独協大名誉教授が怒る。

「国権の最高機関である国会に対する背任行為で、公文書管理法や情報公開法の精神を踏みにじっている」

 公表された文書について近畿財務局関係者が語る。

「籠池氏に『神風が吹いた』と言わしめた要因は、ずばり安倍首相、昭恵夫人であることがよくわかってもらえたと思う。公文書改ざんも本省から言われてやらされ、自殺に追い込まれた職員のためにも『昭恵夫人案件』がいかにおかしなものだったのか、国会で明らかにしてほしい」

 森友学園がそもそも国有地の取得要望書を近畿財務局に提出したのは、2013年9月2日。だが、小学校建設計画は資金繰りがつかない状態で、大阪府の認可はおろか、審査すら受けられない状態だった。

 翌14年3月4日、近畿財務局が大阪府私学・大学課の職員と森友学園の小学校設立について会合した「状況確認」という交渉記録の中には森友側の学校計画が<説得力に欠ける>との懸念が示される。大阪府の発言として<小学校名「安倍晋三記念小学校」として本当に進捗できるのか、取扱いに苦慮>という記述があった。

 翌4月になると、事態が動く。昭恵夫人が14年4月25日に初めて森友系列の幼稚園を訪れ、園児たちの歓待を受け、感涙。

 その3日後の28日に近畿財務局は籠池氏と面会するが、その記録には昭恵夫人を国有地に案内した際、「いい土地ですから、前に進めてください」という発言があったと記され、夫人と前理事長の籠池泰典夫妻が建設予定地で撮った写真が提示されたことにも言及。

 この訪問を境に、近畿財務局は森友側との交渉を本省理財局に報告し、指示を仰ぐようになる。

 同年5月8日の「本省相談メモ」には森友側との想定問答にこう書かれていた。

<本件を進めていくことは難しいと考えられますので、要望書については「不適当」の回答を行わせていただきます>

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