「谷氏が優遇的な対応ができないかと問い合わせたことについて、安倍首相は『制度的な問い合わせで、財務省の回答も“ゼロ回答”で問題ない』と強調していた。しかし、谷氏が昭恵氏の指示で動き、結果的に理財局の判断に影響を与えたのは明らかです」

 翌16年3月11日、基礎工事の過程で新たな地中ゴミが大量に見つかり、籠池氏は自ら上京して理財局の田村室長を訪問し、怒りをぶちまけた。15日の「応接メモ」には、<6月には棟上式も予定されており、安倍総理夫人も出席されることで調整しているところであり、重大な問題として考えている>などと圧力をかけた様子が記載されている。

 この面談の9日後、森友側弁護士が土地の購入を申し入れ、損害賠償請求をチラつかせながら、「安価な土地価格を提示していただくことで、問題解決する方法はとれないか」と迫った。

 同年4月4日のメモでは理財局の指示により、近畿財務局が「棟上げ式への影響を最小限にするため」の対応を検討したとある。そして同年6月、財務省はゴミ撤去費として8億2千万円という破格の値引きを敢行し、土地は1億3400万円で売却された。籠池氏が「神風が吹いた」と表現した所以である。

 政治ジャーナリストの野上忠興氏は、こう見る。

「袋叩きされてきた財務官僚のもうお付き合いはごめん、という思いが透けて見えるようです。仮に、新たな紙爆弾を契機に安倍政権が崩壊の事態にまで行き着くことになれば、彼らも溜飲を下げるのではないでしょうか。いずれにせよ、昭恵氏や『安倍晋三記念小学校』などの記述が消されず公になったことで、『安倍関与疑念』を引きずっていくわけで、政権にとって痛いでしょう」

安倍首相の「逃げるは恥だが役に立つ」を許してはいけない。 (本誌取材班)

※週刊朝日オンライン限定記事