以前、とある有名居酒屋チェーン店の社長と対談したときに、その社長は言ってました。その居酒屋は餃子が人気メニューになっていたのですが、餃子を開発するまでに何年もかかったと。それは味だけでなく、値段を10円下げようとすると、仕入れる野菜を畑ごと変えなきゃいけないと。食材に仕入れ値に対してとにかくシビアにならなきゃいけないのだと。

 結局、飲食店を経営するのは、人に対して食材に対して、どれだけシビアになれるかが大事なんだなと、ここにきて気づく。ちなみに僕はさほどグルメではない。味だけで店を決める人もいますが、僕のような人間は店で働く「人」で店を決めます。その人がいるから安心する。軽く話したい。

 今回のリベンジを近々する予定ですが、今度は「人に会いに来たくなる店」を目指します。

 そして飲食店をやってみたいという人に対して、改めて、とんでもなく厳しいのだということを経験者として言っておきます。

週刊朝日 2018年5月25日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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