患者にとって都合のいい情報だけをうのみにせず、正しい情報を取捨選択する力を養うことが大切(※写真はイメージ)
患者にとって都合のいい情報だけをうのみにせず、正しい情報を取捨選択する力を養うことが大切(※写真はイメージ)

「いい歯医者さんいないかな…」。過去の歯医者での不満を抱きながら、そんなことを思ったことはありませんか。全国にある歯科診療所の数は6万8千件以上。その中からいい歯医者と巡り合うためには患者自身の「選ぶ目」を養う必要があります。週刊朝日MOOK「いい歯医者2017」では、「いい歯医者」を見極める賢い患者になるために、知っておくべき歯医者の基本を解説しています。

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「いい歯医者に巡り合えない」と不満を抱く人は少なくありません。「治療後に痛みが出た」「ちゃんと説明してもらえない」「高額な治療ばかり勧められる」など、不満の原因はさまざまですが、いい歯医者に巡り合えない理由として、(1)歯科医院が多い、(2)歯科医師側の問題、(3)患者側の問題、という三つの要因が考えられます。

 厚生労働省の調査によると、歯科診療所の数は6万8千軒以上(2015年10月1日時点)あり、歯科医師1人あたりがみる人口に換算すると、平均1244人となります。

 歯科医院が多く、患者が受診先を選べることは悪いことではありませんが、看板だけではどんな歯科医院なのかわかりません。法律で広告することが認められている標榜科は「歯科」「口腔外科」「矯正歯科」「小児歯科」の四つだけで、それを見ても、自分がどこに行くべきなのか迷ってしまう人もいるでしょう。

■歯科医師の説明不足や患者の理解不足も原因に

 歯科医師側の問題としては、歯科医師の技術・知識・経験不足、患者への説明不足、患者のニーズに対する理解不足などが挙げられます。歯科医師になるためには、大学の歯学部を卒業し、歯科医師国家試験に合格することが必要ですが、試験に実技試験はありません。歯学部では実習があり、卒業後は1年間の臨床研修が義務づけられていますが、そこで経験する治療は初歩的なものといわれます。そのため、研鑽(けんさん)途中の歯科医師もいますし、自ら努力して技術や知識を修得し、経験を積んで腕を上げなければ、未熟なままの歯科医師もいるかもしれません。

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