ミッツ・マングローブ「最強の男・羽生結弦。アイドル、演歌、そして…」

連載「アイドルを性せ!」

ミッツ・マングローブ週刊朝日#ミッツマングローブ
最強の男・羽生結弦。アイドル、演歌、そして…(※写真はイメージ)
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最強の男・羽生結弦。アイドル、演歌、...

 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、「羽生結弦」を取り上げる。

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 今週で連載100回目です。ありがとうございます。この2年間、何が驚きって、似顔絵の上達ぶりではないでしょうか。昔から空間把握能力が著しく乏しい私は、頭に思い浮かべたものを絵に起こすことが苦手なのですが、顔の写生は化粧と同じ要領だと気づきました。言い方を変えれば、私の化粧テクはこの似顔絵と同レベルということです。そしていまだに横顔や全身は描けません。肩から腕が生えたりします。

 記念すべき第1回のアイドルは羽生結弦さんでした。彼のことを書きたいがために連載テーマを『アイドル』にしたようなもの。今も頂点に君臨してくれているのは嬉しい限りです。君臨どころか、その進化はまさに天井知らず。近年、こんなにも色々な意味で目が離せない人は他にいません。先日から都内百貨店で催されている「羽生結弦展」には、連日長蛇の列ができ、オークションに出品したスケート靴は1億円を超える入札があり、急遽仕切り直された結果850万強で落札されるなど、いよいよもって羽生結弦の『値打ち』というものが如実に数字や値段に表れるようになってきました。しかも件(くだん)のスケート靴を競り落としたのが、あろうことかギャル御用達セレブ風ブランド『サマンサタバサ』だったというからびっくり。日本橋高島屋で羽生くんのクリアファイルを大量買いした上品なユヅリスト系ご婦人たちが、スケート靴(各地のサマンサタバサ店舗にて展示キャラバン中とのこと)見たさついでに、紗栄子チックなピンクのバッグや、ミランダ・カー監修の長財布を手に取るのかと思うと興奮します。ブランドの整合性は大丈夫?

 一方で、オリンピックが終わり2カ月になりますが、フィーバーは収まるどころか、本人プロデュースの凱旋イベントや、待ちに待った祝賀パレードが地元・仙台で行われるなど、かなり精力的です。私はただひたすらその一挙手一投足を画面や紙面越しに追いかけるだけなので、熱狂的な『ゆづファン』の方たちからすると「そんなのファンじゃねえ!」と糾弾されそうですが、私は私なりに熟成された熱量で羽生くんを応援していると自負しています。それでも、羽生くんに関して何か言ったり書いたりするたびに「彼を“アイドル”と呼ばないで!」とか「羽生くんを“演歌”と表現するなんて失礼!」とか、それこそアイドルや演歌に対して失礼極まりないんじゃ?と思うようなご意見をたくさん頂戴します。しかしながら、『アイドルであり続ける』こと、『演歌(様式美)の精神を貫き通す』ことは、私にとって尊敬と憧れの念を抱き得る最強のスペックです。

 そんな中、先のアイスショーにて、私の羽生熱をさらに煽る垂涎級の『ゆづ語録』が飛び出しました。集まったファンに向けて「いっぱいいろんな声が聞こえて、もう聖徳太子になった気分だよ(ハート)」「もうキャーキャーワーワー言ってやってくださいッ!」。極めつきは「ソチ落ちの人~? ピョン(平昌)落ちの人~?」。この『落ち』とは、「恋に落ちる」の『落ち』であり、要は「いつから僕に惚れてるの?」と自分から聞いちゃっているわけです。参りました! 鼻血出そう! そして心の底から「ワーキャー」叫ぶユヅリストさんたちの姿……。羽生くん、あなたは最強の『悪魔』です。日本国民『全落ち』します。本望です。

週刊朝日 2018年5月4-11日合併号

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ミッツ・マングローブ

ミッツ・マングローブ

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

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