次いで高かったのは500%の近畿大だ。得意科目がある受験生が有利になる「高得点科目重視方式」や、一つの試験で学部内の学科を複数併願することができる「学部内併願方式」などがある。加藤公代広報室長はこう強調する。

「受験生にできるだけチャンスを与えるため、併願制度を充実させてきた。学部も全部で14あり、学部間の複数併願も多い。のべ志願者数だけでなく実志願者数も増えているので、これからも両方とも増えるように努力していきたい」

 併願率が最も低いのは126%の学習院大。センター利用入試などは導入していない。

「本学で問題作成から採点までを丁寧に行っている。入試では高校での学びがきちんと身についているかを確認し、その基礎を大学での学びにつなげようとしている」(広報担当者)

 駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長は、特定の学問領域を扱う単科大学よりも、学部が複数ある総合大学のほうが併願率が高まりやすいと指摘する。

「センター利用入試を導入していない大規模な大学では併願率は150%ぐらい、導入していれば200%ぐらいが目安になる。関西では、試験日自由選択制度や全学部統一入試などを取り入れている大学が多く、併願率が比較的高く出ている」(石原氏)

 実志願者数はこれまで、積極的には公表しない大学が目立っていた。実志願者数の定義が固まっておらず、「公表することで誤った認識を与える可能性がある」(関東の私大)ことなどが理由だ。それでも情報公開の一環として、公表に踏み切る大学は増えている。

駒澤大や国士舘大は、今回は非公表だが、来年度以降の公開を検討したいという。

 実際に何人が志願したのかは受験生だけでなく、親や関係者にとっても大きな関心事。今後は公表の流れが強まりそうだ。(本誌・吉崎洋夫)

*募集人員・のべ志願者数は大学通信調べ。主要な私立大学約100校を調査し、センター利用入試を含む一般入試のみのデータ(2部・夜間主コース等を含む)。数字は3月31日時点。実志願者数は主要な私立大に編集部が問い合わせた。センター利用入試を含む一般入試(2部・夜間主コース等を含む)について、同じ志願者は複数併願しても1人として集計した。併願率はのべ志願者数を実志願者数で割った。実志願倍率は実志願者数を募集人員で割った ※同志社大はセンター利用入試を含まない一般入試の実志願者数(25,800人、前年比102%)を公開した

週刊朝日 2018年5月4-11日合併号

著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら