夫:敷地が150坪。

妻:私たち同い年で学年も一緒なんですけど、彼は小学校は国立大付属で、給食にビンに入った牛乳が出たんですって! 公立の私は脱脂粉乳だったのに。

夫:制服に革靴。その革靴もピカピカにしてないと、先生に叱られた。

妻:靴ヒモだってお手伝いさんに結んでもらうような生活してたんでしょ。

夫:うちは兄貴は体が大きくて頭脳も明晰。亡くなった立川談志さんが近所でね。兄貴とはガキ大将同士、しょっちゅうケンカしてた。その兄は東京水産大学(当時)、僕は東京農業大学へ。おやじの指示でした。というのも、1947年、インドはついに独立を勝ち取ったものの、まだまだ発展途上国。特に遅れてるのは水産と農業だと。それで、息子2人に学ばせて、故郷に錦の御旗を掲げたかったんだな。

妻:ところがそうはいかなかった。

夫:東京農大を出たことは誇りに思ってるけど、僕には農業は合わなかった。それより商売が大好きでね。大学1年のときから店に立って働いたよ。

(聞き手/浅野裕見子)

老舗インド料理店「ナイルレストラン」が全焼… オーナー夫婦の驚くべき行動と決断へつづく

週刊朝日 2018年3月30日号 より抜粋