安倍首相は14日の参院予算委員会で、「(改ざんは)11日に報告を受けた」と言い張ったが、記者から追及された菅官房長官が翌日、「6日には杉田副長官から報告を受け、安倍首相も承知していた」と認めざるを得なくなった。

 財務省は12日に約80ページの報告書を発表。

 安倍昭恵夫人や、鴻池祥肇元防災担当相や平沼赳夫元経済産業相ら複数の政治家の名前が記載されていた14の決裁文書を次々と書き換えたという。

 だが、この報告書で一件落着とはならなかった。

 自民党総務会で「安倍内閣総辞職」を訴えた村上誠一郎元行革担当相は本誌にこう語った。

「森友問題で佐川前理財局長を動かせる人はおそらく首相、財務相、官房長官、首相秘書官クラスだろう。森友、加計問題は“安倍友”を優遇してきたのが原因とみられ、いずれも出発点は安倍さんその人だ」

 麻生太郎財務相の弁明によれば、文書の改ざんが行われたのは昨年2月末から4月の間で、「佐川の国会答弁との矛盾を避けるため、理財局の一部の判断でやった」と主張している。

「責任逃れも甚だしい弁明だ」と金子勝・慶応大学教授は言う。佐川前理財局長が「記録は残っていない」との答弁を繰り返し、野党を憤慨させたのは昨年2月24日。首相が国会で、「私や妻が関係していたならば、総理大臣も国会議員も辞める」と発言したのは、その7日前のことだった。

「この首相発言を機に、文書の改ざんが始まったのは、誰が見ても明らかだ」(金子教授)

 この問題を追及する著述家の菅野完氏も言う。

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安倍首相の不用意な答弁が、すべての始まり