このタイプの新たな注目株として米川氏が推すのが愛媛から東京、神戸に進出しているすしえもんだ。

「東京では去年6月、八王子市の大型ショッピングセンター、イーアス高尾に初めて出店したのですが、そのショッピングセンターの飲食店売り上げのうち、実に4割を稼ぎ出す人気店となっています」

 マダイについては伊達真鯛という養殖ものを使っているが、これが東京の回転寿司ではいちばんおいしいマダイではないかと、米川氏は太鼓判を押す。

「愛媛県の宇和島から、いかに鮮度を保って東京へ運ぶか。そこに企業努力を注いでいます」

 ネタへのこだわりは、元祖エンタメ系とされる銚子丸も負けてはいない。

 メキシコ産の養殖ホンマグロを仕入れ、質の高いネタを安定提供しているという。石田社長はホンマグロへの強いこだわりをこう強調する。

「原価は張るが、身質の良いアイルランド産やニューヨーク産の天然もの、時には大間マグロも仕入れて時折、開催するフェアに投入しています。アイルランド産を安値の時に少しずつ買い集めて冷凍保存し、数量が集まったらフェアを打つといった工夫もしています」

 首都圏近郊に90店を展開する銚子丸では、来店客のノリのいい店では、その日おすすめの魚をさばき、寿司皿をお盆に並べて店内を回るパフォーマンスをすると、拍手が起こる。

「店舗を劇場に、スタッフを劇団員に見立てる、銚子丸一座という考え方が、私は好きです」(米川氏)

(ライター・五嶋正風)

週刊朝日  2018年3月23日号より抜粋