銚子丸は、理想的な年間5店の新規出店の実現には毎年30人の新卒採用が必要だというが、「ここ2年は年数人しか採用できていない」と石田社長は話す。

 経験者の中途採用は、さらに厳しい状況だという。

 今後も進展する少子高齢化を考えれば、中長期的にもこうした採用難の状況は続くだろう。

 米川氏は採用難に対して手を打っている企業もあるという。

「がってん寿司を展開するRDCは、リクルーティングに年間1億円を使っていると聞きます」(同前)

 また沖縄や東北の学校を社長や役員が訪問し、採用活動をして回っている企業もあると話す。

 よい職人がいるかどうかが、よい回転寿司屋か否かの分かれ道ということだが、そこを見極める方法は何かあるのだろうか。米川氏は「入り口にいちばん近い場所に立っている寿司職人がポイントです」と説く。

 店に入って最初にあいさつされる職人によって、店の印象は決まってしまうもの。「だからそこは店長か一番の花形職人という、その店の“エース”の定位置なのです」

 エースの印象が悪かったり元気がなかったりすれば、あとは推して知るべしということだろう。

 その他の店の良し悪しを見極めるポイントも聞いてみた。「入り口付近に喫煙スペースがある店はまずダメです」(同前)。回転寿司屋は子どもも多く訪れる。その動線に紫煙が漂っているようでは論外だ。

「そんなことにも気が配れない店が、他のことに気が利くとは思えません」

「今日のおすすめ3カン」のような、その日のおすすめを用意していない店は、おすすめできないと米川氏は言う。

「おすすめがはっきり示せないような、適当な仕入れをしているのか?と疑問が湧きます」

 おすすめ3カンには、あまり量を食べられない客への気配りも感じられる。「好きなものを好きなだけというのも、回転寿司の魅力の一つでしょう」(同前)

 こうしたポイントを踏まえつつ、米川氏おすすめの店をいくつかピックアップしてもらった。「いま東京で流行っている2大回転寿司は、先に挙げた上野・御徒町の金沢まいもん寿司、東京駅前KITTEの根室花まるでしょう」。この2店は、金沢、北海道といったブランド産地の海産物を、東京でもおいしく食べさせるという特徴が共通しているという。

次のページ