<需給バランスの激変に伴う予想以上の早さによる市況の悪化により、シェアハウス居住者(賃借人)が支払う賃料の支払いやシェアハウスの運営・管理費用を捻出することが極めて困難な状況となっております。つきましては、誠に申し訳ございませんが、当社は貴殿に対して、本件契約の解約の申し入れをさせていただきます>

 Bさんは現在、賃借人から直接家賃を受け取っている。家賃を月額5万円に下げて、7室が埋まっている状況だという。光熱費は大家負担で、さらに管理費を差し引くと実質的に入ってくる賃料は月額25万円にまで減ってしまった。

 Bさんが悔しそうに言う。

「毎月、給料から15万円足して銀行に返済している状態です。まさか1年足らずでダメになるとは思ってもみなかった。いま思えば、GG社の営業マンはサブリース契約が決まったとたん、やたらと気前が良くなり、食事やキャバクラに連れて行ってくれるようになりました。銀座で2時間30万円もするクラブでおごってもらったこともあります。ちょっと怖いなと思っていたのですが」

 GG社が運営するシェアハウスは約150棟あったと見られ、SD社と合わせると約1千棟になる。両社のシェアハウス投資で、顧客らに融資していたのがスルガ銀行(本店・沼津市)だ。

 実際、両社に投資して莫大な借金を背負うことになった会社員もいる。CさんはSD社で2棟、GG社で1棟のシェアハウスに投資し、4億5千万円の借金を背負うハメになった。

 Cさんが表情をこわばらせながら話す。

「家族に少しでもお金を残すつもりで投資したのですが、逆の結果になってしまいました。銀行への返済額は月額150万円を超えます。やがて立ち行かなくなるのは目に見えています。スルガ銀行がお墨付きを与えたビジネス方式だから、信用して投資したのです」

 オーナーとなった会社員らは、シェアハウスを処分すらできない状況だ。市場価格よりも割高な価格で購入しており、売却しても莫大な赤字が出るからだ。不動産会社「オージャス」代表を務める白石千寿子氏がこう語る。

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