「映画監督としてどうありたい、という具体的なイメージはありません。でも強いて言えば、目標としているのは、“撮影現場の雰囲気がいいこと”かもしれない。参加した人たちみんながエンジョイしてくれるような、居心地のいい現場づくりをしていきたい。結果として、私が芯から愛せて、信じられて、思慮深くハートフルで、自分自身を表現できる映画ができたらいい。とにかく、誠実に、映画を作っていきたいんです」

 男性社会で、上手に自分の意見を通すコツがあるとすれば、それは「簡単に諦めない」ことなんだとか。

「今でも『ノー』と言われることはあります。でも、そうしたら自分の信じたものに対して、どうやって『イエス』と言わせるかを考えるのです」

 彼女の映画は、短いことも特徴だ。今回も、90分台でまとめている。

「理由は、私にとって脚本を書くことが一番ハードなので、早く終わらせたいのと、私自身が甘美でありながら短い映画が好きだからです。その世界に入り込んで、存分にエンジョイして、パッと終わるような(笑)」

(取材・文/菊地陽子)

週刊朝日 2018年3月2日号