そして過去、とある人気番組ではこんなこともあった。その冬のオリンピックで、金メダルを絶対に取る!と言われていたA選手。その人気番組プロデューサーは、オリンピックが始まる前からA選手に接触。そして出演依頼をした。A選手はとても喜んでくれた。

 いつか出ることができたら嬉しいなと思っていたと。ただプロデューサーは、とんでもないことを言ったのだ。「こんなこと言って申し訳ないのですが、メダルを取ったら出てほしいんですよ。でも絶対獲得できると思っているのですが」と。なんという上から目線。A選手、なんとその条件でOKしてくれた。メダルを獲得したら出演すると。金メダルは必ず取ると言われていたので、楽しみにしていた。だが、いざ始まってみると、結果は4位。メダルを獲得することはできなかったのだ。そして約束通り、出演はなくなってしまった。

 大会が終わり帰国後。A選手は他の番組に出演していた。そうしたら高視聴率を獲得。それを見て、プロデューサー「やっぱり出てほしいんですけど」。当然、丁寧にお断りされました。今回の平昌の裏で、また戦いが行われるのだろう。

週刊朝日  2018年2月23日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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