科学的な見地から見ても、高梨は問題ないという。スキージャンプを研究している北翔大学の山本敬三教授もこう指摘する。

「高梨選手が不振だと思っていません。世界の女子選手のレベルが上がり、高梨選手の技術力に追いついてきたと見ている。スキージャンプは跳躍動作だけで決まる競技ではなく、飛翔体になれるかどうかが重要。世界に先駆けて、高梨選手はそれをいち早く習得したことでW杯通算53勝も出来た」

 さらに高梨の技術的進歩を次のようにあげた。

「直前のW杯(1月28日)では着地のテレマーク姿勢をしっかり入れられ、飛型点ではトップだった。結果は4位だったが、優勝者との差は僅か5.8ポイントだ(飛距離にして約3メートル)。金メダルの可能性もある。」

 他にもスノーボードの鬼塚雅も金メダルの有力候補だ。折山さんは

「鬼塚はビッグエアとスロープスタイルに出るが、金としたらスロープスタイルではないか。世界選手権でも優勝したことがある」

 と期待を寄せる。

 奇しくも、名前の上がった小平、高木(妹)、高梨、鬼塚の金メダルのかかった競技日が2月12日に集まる。午前10時からスロープスタイル決勝、午後9時半からスキージャンプ、午後9時50分からスピードスケート1500メートルが行われる。

 女子選手の誰が最初に女子の金メダルを取るのか、12日は必見だ。(本誌・大塚淳史)

週刊朝日 2018年2月16日号より加筆