IPOの場合、上場日の約1カ月前に取引所からIPOスケジュールとともに正式発表される。東証のHPの「上場会社情報」→「新規上場会社情報」のページに、発表と同時に「新規上場申請のための有価証券報告書(Iの部)」が掲載されて、ここで会社概要、沿革、大株主や直近の業績動向などの情報がチェックできる。

 証券アナリストがこう解説する。

「通常のIPOはファイナンス(公募増資や株式売り出し)を伴うために、情報管理が厳しく、事前に詳細な情報をつかむことは難しい。また、コンプライアンス上、証券会社関係者も情報開示が厳しく制限されている。上場するまでIPO銘柄の証券会社レポートが出てこない、メディア取材を断るのはそのためです」

 あくまでも市場で噂されている今年のIPO候補をあげてみよう。

 09年以来の再上場となる「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)を運営する「ユー・エス・ジェイ」のほか、「アースミュージック&エコロジー」などアパレルの「ストライプインターナショナル」、人工繊維開発ベンチャーの「Spiber」、ニュースアプリを展開する「スマートニュース」、ビットコインなど仮想通貨取引所運営の「ビットフライヤー」、転職・就職情報の「マイナビ」、10分ヘアカットの「キュービーネットホールディングス」、ERP(統合基幹業務システム)パッケージシェア国内トップでAI搭載の業務アプリ開発の「ワークスアプリケーションズ」、フィンテックを利用したクラウド会計の「freee」などが有力視されている。このほか、フリマアプリの「メルカリ」、自動車自動運転技術の「ZMP」も候補とされている。

 この上場候補のなかでは、やはりUSJの存在感が抜きんでている。

「07年3月にマザーズに上場し、その後の業績低迷でわずか2年後の9月にTOB(株式公開買い付け)で上場廃止。株式市場で再上場案件の株価パフォーマンスは総じて芳しくないが、その後の業績回復はミラクル。東京ディズニーリゾート運営のオリエンタルランドと同様に入場・利用券の株主優待の実施期待から、高人気は必至」(市場関係者)とされる。

 一方、今年6月をめどに東証マザーズ上場を計画していると報道されたメルカリは、上場時の時価総額は2千億円を超える可能性があり、USJと異なった形で関心を高めている。

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