波及人気効果が見込まれる銘柄、例えば、日本郵政ならば銀行事業で類似対象となる三菱UFJフィナンシャル・グループ、小型株では日本郵便にグッズを提供するレッグス、SGホールディングスならばライバル企業のヤマト運輸を持つヤマトホールディングス、類似業種の遠州トラックなどに投資するほうが、値上がり益を期待できる近道となるケースといえる。

 こうしたなかで、年明けにソフトバンクの新規上場観測が、電撃的に報道されて大いに注目された。

 すでに持ち株会社のソフトバンクグループは上場しており、携帯電話子会社のソフトバンクが上場すると「親子上場」の形となる。「日本郵政」が「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」とともに親子同時上場を果たし、「NTTドコモ」も親会社「NTT」と上場済みなので、制度的には問題ない。報道を受けたソフトバンクグループの株価はその直後に続伸中だ。

「このニュースは株式市場とソフトバンク自体のプラス材料と捉えられたとの判断もできる。超大型IPOで知名度が高く、個人投資家の保有比率が高いソフトバンク子会社の上場は、証券会社にとっては取扱手数料の増加が見込まれ、歓迎すべき存在」(市場関係者)

 推定2兆円規模での資金調達額となる今回のソフトバンクの上場を、1987年に新規上場したNTTフィーバーの再来と期待する向きもあるが、これはやや期待外れとなりそうだ。

 NTTは政府保有株の放出第1号となったことで前述したように初物人気の側面が多分にあったが、ソフトバンクは違うという。

「現在は3メガキャリアが事実上独占する国内の携帯電話市場が飽和状態にあり、楽天の新規参入による競争激化も予想される。ソフトバンク子会社株価への過度な期待は持たないほうがいいものの、抜群の知名度と大型株特有の機関投資家ニーズからすると、株価の大コケもない」(市場関係者)

 むしろ、子会社上場で親会社のソフトバンクグループが得る資金は、財務対策のほか世界の革新・成長企業に投資する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の原資となるはず。直接的ではないものの、やはり新興企業へ資金は還流していくことになりそうで、新興企業投資の魅力を一段と輝かせることになる。

週刊朝日 2018年2月9日号