1991年以来26年2カ月ぶりに2万4000円台を回復するなど活況な投資市場。増収益を続ける企業の成長過程で投資することができる新興銘柄に注目が集まるが、今年、新規上場する可能性のある企業は? 日本証券新聞社代表取締役社長を12年務め、独立した「株式会社メディアストラ」代表の天野秀夫氏が報告する。
2017年、東証には1部に11銘柄、2部に8銘柄、マザーズに49銘柄、ジャスダックに18銘柄の合計86銘柄が新規上場(他市場からの上場、テクニカル上場除く)した。
昨年12月に直接、東証1部に新規上場(IPO)した佐川急便の持ち株会社SGホールディングスのデビューは社会的にも注目されたことが記憶に新しい。
しかし、通常は東証1部・2部よりも上場基準が緩いマザーズやジャスダックに上場し、その後に東証1部・2部に市場変更を目指すステップアップ型が主流だ。IPOは一般的に市場からの資金調達を伴うため、株式市場が低迷した場合、IPO数は減少する。
ここ数年は株式マーケットが好調なため、IPO数も安定している。証券会社営業担当役員の解説。
「IPOの増加は、新規の資金を株式市場に呼び込み、市場の新陳代謝を促す効果がある。新しい技術、事業分野を持つ企業が登場することによって、投資家にとっては、投資の選択肢が広がっています」
さらに、話題となるIPOの大株主や既上場の類似銘柄などに人気が波及するケースもある。
「11年から13年にかけては有力なバイオベンチャーが複数上場し、バイオの物色人気が高まった。医療・介護用ロボットスーツ『HAL』を手掛けるCYBERDYNEがマザーズに上場した14年は介護ロボットが人気の物色テーマになった。株式市場はその時々に人気の物色テーマが出現し、これが物色の流れを形成してきた」(証券会社調査部長)
今では、AI(人工知能)、仮想通貨(ビットコイン等)がそのキーワードとなって人気テーマとなっている。
それでは、18年はどのような企業のIPOが期待できるのだろうか。