牧田善二さん
牧田善二さん
主な食品のAGE含有量(週刊朝日 2018年2月2日号より)
主な食品のAGE含有量(週刊朝日 2018年2月2日号より)

 100歳人生時代が到来しつつあるいま、食事の健康効果について、世界レベルで科学的な検証が進んでいる。果たして、どんなものをとれば健康寿命を延ばせるのか。専門家がすすめる「不老メシ」を取材した。

【図】主な食品のAGE含有量はこちら

「一言でいえば、炭水化物を減らし、タンパク質や脂質を増やした食事です」

 このように自身がすすめる“不老メシ”のポイントを語るのは、『医者が教える食事術』の著者で、糖尿病を専門に診るAGE牧田クリニック(東京都中央区)院長の牧田善二さんだ。著書は国内外の研究論文や日々の診療から導き出したもので、牧田さん自身はずっと食と血糖値との関係に注目してきた。

「血糖値はカロリーや脂肪のとりすぎで上がると思っている人が多いのですが、実は誤解。実際は、炭水化物や糖でないと上がりません」(牧田さん)

 低炭水化物・高タンパク質・高脂質の食事は、糖尿病患者だけでなく、健康な人の健康長寿につながる。その考え方の根拠となるのが、血糖値が食後に急激に上がる“血糖値スパイク”の存在だ。牧田さんによると、健康診断の結果が正常範囲でも、気がつかないうちに血糖値スパイクによって、体がむしばまれている危険があるという。

「当院では、24時間測れる血糖値測定器を使い、健康な人の血糖値の変化を見ることもあります。すると、炭水化物や糖質をとった後、一時的に180mg/dLぐらいまで上昇した。健康診断などで行う糖負荷試験の正常値は、『食後2時間血糖値140mg/dL未満』。それより高い状態に一時的にでも陥っていたのです」(同)

 血糖値スパイク自体は病気ではない。だが、牧田さんは「これが繰り返されることで、血管などの老化が進む」と警鐘を鳴らす。

「なぜなら、“体のコゲ”ともいえる『AGE(終末糖化産物)』が作られやすいからです。AGEは、がんなどの原因になる“体のサビ”を引き起こす活性酸素に匹敵するほどの有害物質です」(同)

 AGEは、タンパク質や脂質がブドウ糖と結びつく、糖化という現象によって作られる。影響を最も受けやすいのは、血管や皮膚を作るコラーゲン組織だ。タンパク質であるコラーゲン組織にAGEが結合すると、弾力性が失われ、もろくなる。その結果、シワができて傷が治りにくくなったり、動脈硬化を促進したりしてしまうという。

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