小池百合子都知事
小池百合子都知事
2017年の印象的な語録 その1(週刊朝日 2017年12月29日号より)
2017年の印象的な語録 その1(週刊朝日 2017年12月29日号より)
2017年の印象的な語録 その2(週刊朝日 2017年12月29日号より)
2017年の印象的な語録 その2(週刊朝日 2017年12月29日号より)
2017年の印象的な語録 その3(週刊朝日 2017年12月29日号より)
2017年の印象的な語録 その3(週刊朝日 2017年12月29日号より)
2017年の印象的な語録 その4(週刊朝日 2017年12月29日号より)
2017年の印象的な語録 その4(週刊朝日 2017年12月29日号より)

 記憶に残る言葉の数々を総ざらいし、2017年を振り返ってみましょう。誰が主役、悪役だって? それはみなさんの「ご想像にお任せします」。うっかり口にすると「失言」になりかねません(笑)。今回は政界語録です。

【2017年の印象的な語録はこちら】

「国有地を買うときに神風が吹いた」「総理のご意向だ」──。2017年の日本は、森友学園と加計学園をめぐる問題で大きく揺れた。この安倍首相の疑惑を追及した2人の言葉をしっかりと記録しておきたい。

 まずは、ベストセラー『日本会議の研究』の著者・菅野完さん。森友疑惑での役人たちの言動を「全自動忖度(そんたく)機」と評した。

「財務省や大阪府には、安倍夫妻の意向を忖度し、森友学園の小学校をつくろうという流れがあった」

 安倍昭恵首相夫人が新小学校の名誉校長を務め、国有地売却の際には、夫人付政府職員が財務省や学園の理事長(当時)の籠池泰典被告に連絡していた。

 菅野さんは2月に森友疑惑が報じられるとすぐに「一大疑獄だ」とSNSで指摘。籠池被告と面会し、彼の主張や学園の資料、その問題性を発信し続けた。

 だが今秋、菅野さんのツイッターは突然、“凍結”された。今も使用不能だ。

「ツイッター社からは何の説明もない。仕事にも支障が出た。でも僕は負けない。出る杭は打たれると言われますが、来年は打とうとしても打てないくらいに出てやろうと思ってます」

 籠池被告は3月下旬、国会の証人喚問で「首相夫人が100万円くださった」と述べた。これに対し、菅義偉官房長官は偽証罪での刑事告発の可能性に言及。7月末に大阪地検に詐欺容疑で逮捕されると、公判前にもかかわらず、安倍首相から「詐欺を働く人物」と非難された。今も勾留されたままだ。菅野さんは言う。

「『籠池さんは政府に向かってあんなことを言ったのだから仕方がない』との見方もある。でも僕は異端視されるのを恐れず、変化を求める声を上げ続けたい」

 安倍首相の意向を役人が忖度して行政をゆがめた──それが森友、加計疑惑の共通点とされる。忖度という言葉は新語・流行語大賞の年間大賞にも選ばれた。

 だが、この問題を世に問うたもう一人の立役者、前文部科学事務次官の前川喜平さんはこう話す。

「実際には(役人が)忖度したのでなく、安倍総理ご自身が何らかの意思表示をしたのだと思います。指示なのか要望なのか、聞こえるように独り言を言ったのかもしれません」

 加計疑惑をめぐり、安倍政権とたたかい、一歩も引かなかった。7月の衆院の閉会中審査には参考人として出席し、「初めから加計学園に決まるように進められた」と指摘した。

「通常考えられないプロセスで不正・不公正な行政が行われた。総理の個人的な意思があったと思わざるをえない。お友達のために行政を私物化したんです」

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら
著者プロフィールを見る
松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

松岡かすみの記事一覧はこちら
著者プロフィールを見る
秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

秦正理の記事一覧はこちら
著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら
次のページ