オリックスは、好きな商品を選べるカタログギフトやプロ野球のチケット割引など優待の中身が多彩だ。石井食品はロングセラー商品のミートボールがもらえる。

 東武鉄道や京成電鉄など優待乗車券がもらえる鉄道株も「自分が普段使っている身近な会社なら愛着がわきやすい」(清水氏)として推薦する。

 こうした優待は個人投資家にとって魅力的だが、注意点もある。前出の深野氏はこう呼びかける。

「配当や株主優待の利回りが高い企業の中には、業績が悪化し株価が下がったことで、結果的に利回りが押し上げられたところもあります。銘柄選びにあたっては、業績もしっかり確認しましょう」

 証券ジャパンの大谷正之調査情報部長は、企業の技術力も重要な判断材料だという。

「NISAでは高配当を続けることができて、成長分野で将来活躍できそうな企業を買うべきです。中でも、世界トップレベルの技術力を持つところがよいでしょう」

 大谷氏はパナソニックや富士通、NTTやオムロンなど、技術力が高くて安定感も備えた、いわば“鉄板会社”があるという。パナソニックは、これから普及していく電気自動車(EV)の分野で、米テスラと協業している。オムロンは画像分析技術などに強みがあり、自動運転による「ぶつからない車社会」の実現に取り組んでいる。

 技術力があればいまは赤字でも、急成長する可能性を秘めている。株価の「大化け」も夢ではない。

「新薬開発を手がけるバイオベンチャーなどは、開発段階では赤字であることが少なくない。このため無配で株価の水準が低いこともある。しかし、画期的な新薬を生み出すことができれば、業績は飛躍的に伸びる。長い目で見て『イチかバチか』で買ってみるのも一つの手かもしれません」(深野氏)

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