3社連合の17年1~6月のグローバル販売台数は前年同期比7%増の約527万台。VWとトヨタを抜き、初の世界1位となった。ゴーン氏が最も重点を置くのが相乗効果の創出。共同購買や設計の共通化などで、現在は3社で年間50億(約6500億円)の相乗効果を生んでいる。それを年間100億(約1兆3千億円)まで拡大するという。

「自動車革命が近づきつつある」と語るゴーン氏。相乗効果で捻出した資金を、生き残りに必要な次世代技術に投入する考えだ。無人運転車両の配車サービス参入に加え、カーシェア事業も強化。日産は「モビリティ(移動)サービス会社」に生まれ変わろうとしているように見える。

 一方、強気で野心的な戦略には暗雲も立ち込める。9月末に発覚した「無資格者検査問題」だ。日本の規制に反する行為であって、世界市場への影響はない。むしろ、ゴーン氏の後任の西川(さいかわ)廣人社長の統治に、揺らぎが見え隠れすることのほうが問題だ。西川社長への「抵抗勢力」が社内に生まれているようだ。

 西川氏はゴーン氏の意を受けて人員削減などを進めてきたが、現場では恨みと不満が渦巻く。「ゴーン氏が日産を再建した業績は認めるが、ゴーン氏の言いなりになって日本人社員や下請けをいじめた西川氏は許せない」(日産関係者)といった声が上がる。「40年近く前から行われていた不正が西川体制になって露呈したのは、西川氏を引きずり下ろそうと社内の一部が外部に告発したから」(同)とも見られる。

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