また、日米を含む6カ国が締約して15年4月に発効した「原子力損害の補完的な補償に関する条約(CSC)」に抵触しないのかという指摘もある。
CSCでは被害者の迅速、公平な救済の側面から、原子力損害に関する訴訟の裁判管轄権を事故発生国に集中。賠償責任も過失の有無を問わず原子力事業者に集中させている。つまり文字どおりに解釈すると、福島原発事故に関する損害賠償請求裁判は日本で、しかも東京電力を相手にしか起こせないことになる。この点を外務省に取材すると、「コメントは差し控えたい」との回答だった。
前出の大久保氏が言う。
「福島第一原発1号機はGEが着工から運転開始まで全責任を負う方式で造られました。事故の責任もメーカーが当然負うべきです」
※週刊朝日 2017年12月15日号