反政府活動家やジャーナリストのソーシャルメディアアカウントの乗っ取りも9カ国で確認された。政府に批判的な活動を妨害するために行われている。多くのソーシャルメディアは乗っ取りを防ぐため、携帯電話のSMSを利用した2段階認証機能でセキュリティーを強化しているが、政府が国営通信会社と共謀することで認証情報を盗み取ることができるのだという。

 独裁的国家の民主主義活動家が草の根で活動を広げる手段として活用され、注目を集めたソーシャルメディア。その独裁的国家が、世論誘導のために利用するようになってきている。フリーダムハウスのマイケル・アブラモウィッツ代表は「政府に雇われた扇動者やプロパガンダを拡散するボットの使用は、中国やロシアが先んじていたが、今や世界中に広がっている」と警告する。

 日本も対岸の火事ではない。マスメディアはセキュリティー企業などと連携し、この問題を深掘りする必要がある。

週刊朝日  2017年12月8日号

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津田大介

津田大介

津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『情報戦争を生き抜く』(朝日新書)

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