夫:もう後には引けず。

妻:つらかったですよ。とにかくニコニコ、いつも陽気でいなきゃいけなくて。

夫:当時は漫才ブームのほんの少し前。コントっていうのはわかりやすくズッコケたりするのが主流でしたからね。それには僕も抵抗あったなあ。

妻:今みたいにお笑いライブなんてないですからね。練習の場もなくて。

夫:それでストリップ劇場に出る仲間はいっぱいいました。僕は新宿、彼女は渋谷の一派だった。

妻:女の子が漫才をやっても、そのうち脱ぐと思ってるから、誰も笑わないの(笑)。

夫:コントになると、お客さんはタバコ吸いにロビーへ出ちゃうし。

妻:モロさんはコンビじゃなくて一人芸だったんだけど、面白い人がいるなあと。

夫:そう?

妻:暗かったんですよ。なんて言うか、社会でやっていけなさそうな人(笑)。

夫:それ! よく昔、まわりから言われたんですよ。なんでだろうなあ。普通のつもりなのに……。

妻:それにしても朝から晩まで劇場にいたね。ストリップは年中無休だし。

夫:ショーは昼からなんだけど、10時に入って掃除。出番が終わっても帰れないんです。いつ用事を言いつかるかわからないからって。

妻:ちょっとした軟禁状態ですよ。

夫:夜10時で舞台が終わって、今度は片づけ。あんまり家に帰れないから、アパート引き払って楽屋で寝泊まりしてました。

妻:ギャラは安かったけど、外へ出ないからお金を使う機会もなかった。

夫:ワンステージ500円で1日4ステージぐらい。それに食事代が500円。月に7万5千円ぐらいなんですけど、ご飯もお酒も先輩がおごってくれるし。

妻:あのころのほうが、いい服着てた気がする(笑)。(聞き手・浅野裕見子)

※「『憎しみはいつか、愛に裏返る』妻の“名言”にモロ師岡困る!?」につづく

週刊朝日  2017年11月17日号より抜粋