浅草・雷門
浅草・雷門
世志凡太氏
世志凡太氏

 女優・浅香光代(89)の6番目の夫で、東京・浅草に暮らし、「浅草音頭」も作曲した世志凡太氏(せしぼんた・83)。温厚で知られるが、最近表情がさえない。訪日外国人に人気の観光地・浅草寺の「仲見世商店街」で、家賃が16倍に値上げされるのではないか、というニュースが駆け巡っているからだ。

「仲見世」は、雷門の大提灯の下をくぐって、宝蔵門まで続く約250メートルの参道。両側にはおみやげ屋や食べ物屋などの商店がズラリと並ぶ。

 仲見世ができたのは江戸時代で、寺の掃除をしていた人たちに営業の権利が与えられたのがきっかけだという。その後、土地は浅草寺が所有し、建物は東京都が管理していた。だが今年7月、浅草寺が建物を都から買い戻し、9月には寺側から商店街側に対し、これまで10平方メートルあたり月1万5千円の家賃を約16倍に引き上げる、という話があったというから、大騒動になっているのだ。

 このニュースに、様々な反応が巻き起こった。仲見世以外の地域の商店街ではこんな声も。

「1万5千円の家賃なんて安すぎる。周辺にある私たちの商店街の相場は25万円から33万円ですよ。人通りも多いから値上げでも借りたいぐらい」(ある店主)

 仲見世商店街振興組合によれば、「値上げは来年1月から」と寺側から話があったというが、先行きは不透明だ。仮に値上げになると、「少なくない店がやっていけなくなるだろう」(同組合の森田一郎広報部長)という。

 やっていけなくなった店が閉まると、「シャッター通り」になるだろうし、その入れ替わりに、スターバックスやマクドナルド、ユニクロ、コンビニなどが出店してきたらどうなるのだろうか──。

「それじゃあ、浅草じゃなくなっちゃいますよ。浅草には江戸の文化が残っているんです。(妻の)浅香も『この空気がなくなったら、私たちが子供の頃から知っている町じゃないよね』って言ってます。地元の人間は、何はともあれ、今の浅草が好きなんですよ」(世志氏)

 騒動の結末やいかに。(本誌・上田耕司)

週刊朝日  2017年11月17日号

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら