坂本龍一「だんだん“死に親しくなる”感覚」 闘病後の変化とは…

2017/10/30 16:00

──映画では、今年発売されたアルバム「async」の制作過程も描かれています。坂本さんの曲には、どこかレクイエム的な響きがあるのはなぜなのでしょう。

坂本 子供の頃から、モーツァルトやフォーレなど、レクイエムは好きでよく聴いていました。それに、「死んだらどうなるんだろう」ということも、昔からよく考えていたように思います。子供の頃と今と、考えていることがあまり変わってないのかもしれない。

──病気を経験され、死生観は変化していませんか。

坂本:ヘンな言い方をすれば、だんだん“死に親しくなる”感覚はあります(苦笑)。モーツァルトも、「若いときから、死はいつも親しい友人だった」みたいなことを書いています。僕の場合、若い頃から死と親しんでいたわけではないけれど、病気以降は、ただ死を恐れるばかりじゃつまらないな、と思うようにはなりました。人生は一回だけと言われていますから、できることなら、自分の死を観察して、リポートしてやりたいです、インターネット中継とかで(笑)。死んだ後も「今、トンネルのようなものに入った!」とか伝えられたら面白いのにと思います。

──今回はご自身が映画のモチーフとなったわけですが、坂本さんにとって映画とはどんな表現手段ですか。

坂本:映像芸術の入れ物であり、娯楽でもある。アートでもあり、エンターテインメントでもあるものです。僕にとっては、映画のほうが音楽よりもはるかに器が大きいと感じます。大きな器に、誰かの人生も、絵画のような素晴らしい映像も、音楽も入っている。その器にあらゆるものを乗せて、世界中に届けられるのが、映画です。

──映画にも大きな影響を受けてこられましたか。

坂本:受けてきていると思います。特に10代の頃はゴダールや大島渚さんの映画が好きで、夢中になって観ました。音楽を作るうえでも、随分影響を受けていると思います。

──では、音楽というのはどんな存在ですか?

坂本:うーん……。もちろん仕事ではあるんですけど、好きでやっていることですから……。好きなことでお金をもらえるのは幸福だし、有り難いことだと思います。でも、僕にとって音楽は、仕事ってことを抜きにすれば、感覚としては“子供の砂遊び”に一番近い。僕は今でも、日がな一日、砂のお城を造ったり、子供のようなことをやっている気がしてしょうがないんですね(笑)。そんなことを、もう40年ぐらいやっている。

1 2 3

あわせて読みたい

  • V6坂本昌行、最初はSMAPのメンバーだった? “ジャニーズ苦労人”秘話

    V6坂本昌行、最初はSMAPのメンバーだった? “ジャニーズ苦労人”秘話

    週刊朝日

    4/18

    V6・坂本昌行が後輩・河合郁人に「想像もつかない表現で、刺激を受ける」

    V6・坂本昌行が後輩・河合郁人に「想像もつかない表現で、刺激を受ける」

    週刊朝日

    1/25

  • V6坂本昌行が目にした“成績表”とは?「ジャニーさん、よくデビューさせたな」

    V6坂本昌行が目にした“成績表”とは?「ジャニーさん、よくデビューさせたな」

    週刊朝日

    4/18

    村上春樹が結成した「ボサノヴァ・ガールズ」メンバー3人とは?

    村上春樹が結成した「ボサノヴァ・ガールズ」メンバー3人とは?

    週刊朝日

    2/8

  • 塚本晋也×蒼井優対談 映画「斬、」 ホチキス留めで「見たこともない台本」の謎

    塚本晋也×蒼井優対談 映画「斬、」 ホチキス留めで「見たこともない台本」の謎

    AERA

    11/13

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す