室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中。
(c)小田原ドラゴン
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 衆院選期間中の安倍晋三首相陣営について、作家・室井佑月氏は異議を唱える。

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 10月13日付のYOMIURI ONLINEに、「『夫人に危害恐れ』首相事務所が演説会取材拒否」という記事があった。

〈衆院選山口4区に立候補している安倍首相の事務所(山口県下関市)は12日、地元の市政記者クラブに対し、選挙期間中に開く個人演説会の取材を拒否する意向を文書で伝えた。

 演説会には首相の代わりに昭恵夫人が出席。事務所側は夫人に危害が加えられる恐れを理由に挙げるが、記者クラブ側は撤回を求めている〉

 なんでも、インターネット上に「昭恵氏を取り囲みましょう」などの書き込みがあったからだとか。

 産経新聞には安倍首相の事務所側がそう判断するまでの、具体的な話が書かれていた。

 首相と同区から無所属で立候補した黒川敦彦氏が、Twitterに「安倍あきえを取り囲みましょう」と書き込んだこと。

 安倍首相の出陣式に首相の代わりに出ていた昭恵夫人のもとへ、黒川氏と応援に入っていた参議院議員の山本太郎氏が現れ、2人は昭恵氏に近寄って「申入書」を渡し、合同演説会の開催を要請し、そして、その様子を山本氏がネット中継したこと。その二つが理由としてあげられていた。

 だから、安倍陣営は、首相夫人の昭恵さんに危険が及びかねないと心配し、演説会の取材拒否を判断したのだという。

 たしかにTwitter上で、「あきえを取り囲みましょう」と呼びかけをしたことはやり過ぎだし、品がない。

 じつはあたし、山本太郎さんが流したネット中継も観た。太郎ちゃんは笑顔で昭恵さんと握手していた。昭恵さんが危険って、ぜんぜんそんな感じじゃなかったけどね。

 報道によると、首相の代わりに演説をした昭恵さん、『モリ・カケ』の話はいっさいしなかったという。渦中の人だし、国会で説明してくれと求められているのも事実なんだがな。

 たとえば、あたしが昭恵さんの演説を聞きにいって、昭恵さんが『モリ・カケ』の話をまったくせず会場から帰ろうとしたら、せっかくご本人を目の前にしているのだからと、「モリ・カケの話もしてくださいよ」と声をかける。

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室井佑月

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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