学生の人気をみるには、大学の志願者数も参考になる指標。一方で、入試方式の違いで数字は大きく変わるため、注意が必要だ。

 私大によっては、1日分の受験料(例えば3万円)を払えば、試験日が同じ複数の学科をすべて併願できる。今はネット出願が増えており、クリック一つで簡単に志願先を増やせる。こうした仕組みで、ある首都圏の私大は、受験生1人が平均6~7学科を併願しており、志願者数も膨らむ。

 大学選びについて、木村氏はこうアドバイスする。

「これまで以上に、大学の運営実態や情報公開の姿勢を見極める必要があります。例えば、同族でずさんな経営をしていないか、財務状況は問題ないか、中退率は高くないか。この点では、受験生本人だけでなく、保護者のサポートも大切です。大学ポートレートに未参加の大学も一部ありますが、情報公開の姿勢でみると、論外と言えます」

 まもなく入試シーズンが本格化する。本当に行きたい大学か、行く価値のある大学か。大学全入時代は、“大倒産時代”にもなることを意識したい。(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日 2017年10月27日号

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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