なぜハリウッド??(※写真はイメージ)
なぜハリウッド??(※写真はイメージ)

「なぜハリウッド??」
「アニメーションだからこそ良いものってある」

 映画「君の名は。」がハリウッドで実写化されるというニュースが流れると、インターネットではこんな声があふれた。

「君の名は。」は海外の評価も高く、国内の興行収入250億円超えを記録したメガヒット。すでに東宝が米国の大手映画配給会社であるパラマウント・ピクチャーズ、制作会社のバッド・ロボットに実写映画化の権利を許諾し、東宝と両社は共同開発に着手しているという。

 夢のある話にもかかわらず、不安の声が上がるのはなぜか。映画評論家の前田有一さんは言う。

「過去に日本の漫画やアニメ原作でハリウッドリメイクされた作品は、興行収入で見ると多くが失敗に終わりました。『一見さん』を取り込むためにアメリカナイズされ、原作の個性が失われてしまうと、熱狂的なファンが多い作品ほどアンチが生まれるのです」

 例えば、日本で2009年に公開された「ドラゴンボール」のハリウッドリメイク映画「DRAGONBALL EVOLUTION」。孫悟空がいじめられっ子の高校生という点など、原作と似ても似つかない設定が多く、ファンを落胆させた。

「ハリウッドに適しているのは、SF超大作など予算の大きい作品。『君の名は。』は日本人のなにげない日常を美しいビジュアルで描いた作品で、世界観を損なわずに実写化するのが難しい分野でしょう」

 ただ、特筆すべき点は、米国側のプロデューサーに、「スター・トレック」や「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の監督を務めたJ・J・エイブラムスなどが名を連ねていることだ。

「J・J・エイブラムスは、超一流の監督・プロデューサーです。『スター・ウォーズ』もすさまじいマニアが多い作品ですが、彼は『フォースの覚醒』を過去の作品と矛盾なく、マニア向けのファンサービスも忘れず、かつ『一見さん』でも入りやすい作品に仕上げ、ファン層を拡大しました。彼の手腕で、どのようにリメイクされるかは注目ですね」

 ちなみにネット上では、完成作品の予想でも大盛り上がり。中にはこんな声も。

「彗星(すいせい)シーンでエアロスミス」
「『アルマゲドン』かっ」

とツッコミたくなるが、なんだかんだ言いながら、ファンは実写化を楽しみにしているようだ。(本誌・直木詩帆)

週刊朝日 2017年10月20日号