8日午後、党首討論会で報道陣の質問に答える自民党の安倍晋三総裁(左)。右は希望の党の小池百合子代表 (C)朝日新聞社
8日午後、党首討論会で報道陣の質問に答える自民党の安倍晋三総裁(左)。右は希望の党の小池百合子代表 (C)朝日新聞社

「これで200議席割れはなくなった!」

 5日昼、希望の党代表の小池都知事が「出馬しません」と明言したテレビ画面を注視していた自民党本部は歓喜に沸いた。

「200議席割れ」には伏線があった。

 2日午後に官邸・自民党に「現有288から200割れの可能性が濃厚。希望160前後の勢い」という信じられない情勢調査の結果が上がってきたからだ。

 自民党三役経験者は本誌に「森友、加計疑惑での嘘つきイメージがこびりついた安倍首相では駄目」と落胆を隠せなかった。

 それが一転し、この自民党幹部は5日、「小池さんの戦術は正しかったが、戦略を間違ったね。今のトレンドでは最大50減程度でとどめられるのではないか」と笑顔で語った。

 小池氏とは「犬猿の仲」(自民党議員)として知られる菅義偉官房長官は最近、上機嫌だという。

「小池氏が『排除の論理発言』をして以降、夜回りでも笑顔でちゃんと応じて、『(政党乱立で)うちは有利だよね。東京でも希望の党より、うちのほうが強いね』と強気です。全国の警察・情報機関から裏情勢を集約している官僚トップの杉田和博官房副長官に至っては、3日夜に宿舎の部屋に番記者を珍しく招き入れ、『希望は相手にはならないでしょう。底が割れたんじゃないの』と余裕しゃくしゃくでした」(政治部デスク)

 そして菅官房長官は安倍続投を既定路線にすべく着々と手を打っているという。

「菅さんは麻生太郎財務相、二階俊博幹事長に根回しして、今回の結果が50議席減でも、11月のトランプ大統領来日など外交日程も考慮して当面は安倍続投の了解を取り付けています」(政府高官)

 しかし、現場の空気は違う。7月の都議選時同様に全国の候補者陣営からは「お忙しい安倍首相にはわざわざ応援に来ていただかなくても……」という断りの要請が自民選対に殺到しているという。

 安倍首相本人は振り回されっ放しの小池氏への"不快感"を周辺にぶちまけているという。

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