やはりピッチでほえてる姿が似合ってます!(c)朝日新聞社
やはりピッチでほえてる姿が似合ってます!(c)朝日新聞社

 日本サッカー協会は9月28日、キリンチャレンジカップ(10月6日、10日)に臨む日本代表メンバーを発表した。ここ数年漂う“本田不要論”もあり、ついに外されるのでは?という予想どおり、ハリルホジッチ監督が読み上げたメンバーの中に大黒柱・本田圭佑の名前はなかった。

「現時点のコンディションでは代表でプレーするレベルにない。クラブでポジションを確保し、高いパフォーマンスを見せることがロシアW杯へ行ける条件だ」

 会見でハリルホジッチ監督は本田についてそう述べた。9月5日のW杯アジア最終予選・サウジアラビア戦は前半で交代、プレーは低調だった。チームを移籍したばかりで、試合勘の低下があったという弁解は立つが、これまで“本田不要論”が叫ばれるたびに、本田はゴールを決めて周囲を黙らせてきただけに、その期待外れ感はぬぐえない。スタメン落ちや途中交代も珍しくなくなり、絶対的存在ではなくなった本田は、もはや代表の資格を剥奪されるのか。

「出場した過去2回のW杯でゴールも決めている彼の経験は非常に大きい。必要な選手ですし、ハリルもそう考えているはずです」

 そう異論を唱えるのはサッカージャーナリストの六川亨氏だ。代表での役割についてこう指摘する。

「川島(永嗣)、吉田(麻也)、長谷部(誠)と並んで代表に不可欠な存在です。彼らに共通しているのは、厳格な教師タイプのハリルに意見できるということ。今回外れたのは、『コンディションを整えておけ』というハリルのメッセージでしょう」

 とはいえ、コンディションが整わなければ、来年のロシア行きはかなわないのではないか。六川氏は2010年W杯でのエピソードに交えて続ける。

「スタメンではなくとも、登録23人には入ってくる。それは本田が10年の南アフリカW杯で川口(能活)の姿を見ているからです。けが明けで代表に選出された川口は、大ベテランながら率先して雑用などをしてチームを裏から支え続けた。そんな姿を見てチームはまとまり、躍進したんです。その役割の重要さをわかっていると思います」

 豊富な経験と献身さをもって代表を支える。その役割を本田が担ってもいいと六川氏は言う。

「ビッグマウスとか俺様だとか言われていますが、何よりもチームの結束を大事にする選手。そして大舞台になるほど結果を出すメンタルの強さ。外れることは考えにくいですね」

 本大会まで8カ月あまり。ピッチの上か、ベンチかはわからない。チームの輪の中で雄たけびをあげる本田が見られるか。(本誌・松岡かすみ、太田サトル、秦正理、永井貴子/黒田朔)

週刊朝日 2017年10月13日号