国民生活センターはこうアドバイスする。

「アパート建設は、大切な相続のお話に直結します。契約する前に一度、立ち止まり、親子で情報を共有し、冷静な判断をしてから契約するべきです」

 サブリース被害対策弁護団によると相談件数は12年、月に2~3件だったが、昨夏から年明けにかけ、地方を中心に相談件数は4倍以上増えたという。

「口頭では『10年間は家賃保証する』と約束しておきながら、契約書では目立たないように家賃を減額する可能性について明記している場合もあります。相手がお年寄りだと書類の細かいところまで読んでいないので、後に、聞いていない、とトラブルとなっています」(同被害対策弁護団)

 不動産コンサルタントの長嶋修さんは注意を促す。

「契約者は自分で内容について判断が難しいと感じた場合、セールストークをうのみにせず、専門家などに相談するべき」

 だが、救いようがないのは、地主たちが頼みにしているメインバンクの担当者に裏切られたケースも多々、あることだ。

 千葉県野田市に住む男性Bさん(76)がレオパレス21とサブリース契約を結んだ際、背中を押したのは、6千万円の融資をしたメインバンク融資担当者の「家賃保証がつくビジネスモデルはすばらしい」という言葉だった。

 このビジネスモデルには裏があった。

 ある地方銀行の融資担当者はこう打ち明ける。

「銀行が不動産管理業者にアパート建設の顧客を紹介した場合、業者から紹介手数料を受け取る契約を結んでいる」

 一般的に業者が銀行に支払う手数料は建築価格の3%以内とされ、銀行関係者は「銀行が銀行窓口で生命保険を販売する見返りに受け取る販売手数料と同じようなもの」と話す。

 金融庁は3月30日、銀行などに対し、顧客本位の業務運営を実現するよう注意を勧告した。

 銀行と業者間で手数料が発生し、オーナーら顧客がそのやり取りを知らされていなければ、不利益を被る可能性があるからだ。

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