中国人の“爆買い”は止まり、“爆売り”が現実のものとなっている。海外の機関投資家も、持っている不動産を売って利益を確定させようとしている。タワーマンションの節税効果も、税制改正によって18年度からはなくなる。

 アベノミクスの立役者である日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁の任期は、来年4月で終わる。再任する可能性もあるが、日銀は異例の金融緩和策を遠くない時期に見直すとの見方が強まっている。そうなれば金利が上昇して不動産に投資しにくくなり、バブル崩壊のきっかけになりそうだ。

 国際的に緊張が高まっている北朝鮮問題も見逃せない。弾道ミサイルの発射や核実験などを続けており、緩和の動きは見えない。東京株式市場の株価が一時大きく値下がりしたように、海外の投資家はこうした情報に敏感だ。有事になれば不動産市場から資金が引き揚げられ、売買が成立しない危機的な状況も考えられる。

 足元を見ると、不動産価格が下がりそうな要因が並ぶ。外国人観光客の増加もあって、20年の東京五輪まで値上がりが続くとの見方もあるが、都心の一部の地域に限られそうだ。

週刊朝日  2017年9月29日号より抜粋