幻の巨大仏画「涅槃図」が170年ぶりに英国から里帰り 見どころは?

週刊朝日
 江戸時代に描かれ、明治時代に海を渡ってボストン美術館に所蔵された巨大「涅槃図(ねはんず)」が約170年ぶりの本格的な解体修理を経て、日本に帰ってきた。

【フォトギャラリー】こうして帰ったきた「涅槃図」─保存修理の全容─

 涅槃図とは釈迦が入滅、つまり亡くなる際に、多くのものが嘆き悲しむさまを描いた図で、命日とされる2月15日に開帳される。

 いま、江戸時代の絵師・英一蝶(はなぶさいっちょう)による巨大な涅槃図が、約1年にわたる修理を経て日本で初公開されている。その大きさもさることながら、細かな筆致や豊かな表情、そして絵師の想像する入滅の状況が見事に表現されている。

 神戸市立博物館学芸員の石沢俊さんは「数珠を持つ男性は絵の奉納者・施入者と推測され、発注者の思いなども考えて描いたと想像できます」と、一蝶の細かな心配りについて話してくれた。

 日本美術研究者でも現物を見た人がわずかだった幻の涅槃図。間近に鑑賞できる、絶好の機会だ。

「涅槃図」の修理は嘉永3(1850)年以来約170年ぶりであったため、掛け軸の絵画と表装をすべて解体する本格的な修理が行われることになった。

 涅槃図は何度も巻いたり広げたりされるので、多くの折れがあり、その部分が弱くなっていた。それゆえ特別な紙で裏打ちと呼ばれる補強が随所に行われ、折れの部分がきれいに伸ばされた。

 また、掛け軸として仕立てるための表具の一部は新調された。当時の風合いを出すのに何度も見本を織り、完璧を求めた。

 修理が公開されるという初の試みもあった。担当したフィリップさんは、「この絵では蝙蝠(こうもり)が好きですね。こんなに小さな生き物も細やかな筆使いで描かれています。一蝶の魂を感じるその技に驚かされます」と笑顔で語ってくれた。

週刊朝日 2017年9月8日号

続きを読む

この記事にコメントをする

TwitterでAERA dot.をフォロー

@dot_asahi_pubさんをフォロー

FacebookでAERA dot.の記事をチェック