損保各社も、補償の受取人の範囲を広げた。三井住友海上火災保険は、火災保険に「電車等運行不能賠償追加型」の特約を付けられるようにした。

「年間2500円程度の特約を付ければ、認知症などで線路に立ち入って振り替え輸送費用が発生した場合、1億円を限度に補償します」(同社担当者)

 介護に従事する家族に心強い保険がある。畠中さんのおススメは、要介護より軽い「要支援1」の状態で介護一時金が給付される、「みんなのキズナ」(あんしん少額短期保険)だ。60歳女性で、保険料は月額1500円。「要支援1」に認定されると、一時金約34万円がもらえる。「ほかにはない手厚さです」(畠中さん)

◆葬儀
 家族に葬儀や遺品整理の費用を残したい人に、使い勝手がいいのは、「SBIいきいき少短の死亡保険」だ。掛け捨てタイプで84歳まで申し込み可能。54歳の女性の場合、100万円の死亡保障が月490円とワンコイン程度の保険料が魅力。

 マンションやアパート経営をする家主に心強いのが、「無縁社会のお守り」(アイアル少額短期保険)だ。入居者が孤独死した場合、1戸室につき月額300円で原状回復費用は100万円、家賃損失も200万円を上限に補償してくれる。

 ファイナンシャルプランナー(FP)の山口京子さんが言う。

「ネットで手軽に加入できる時代だけに、内容が重複していても気づかない人が多い。生活スタイルに合った保険を、無駄なく選んでほしいですね」

週刊朝日  2017年9月8日号より抜粋