東京商工リサーチのデータは、各企業が公表する有価証券報告書の数値をもとにしている。三井住友FGの子会社の三井住友銀行も同報告書を公表しており、従業員数2万9283人で、平均年収814万円。こちらの数字のほうが一般行員の実態に近いかもしれない。

 4位の野村HD、12位の東京海上HDなど、銀行以外の証券や保険業界のトップ企業も上位に並ぶ。

 8位の三菱商事、9位の伊藤忠商事など、5大商社はすべて20位以内。商社はここ数年、業界内の序列変化が話題になっている。

 三菱商事と18位の三井物産が業界の双璧だったが、両社は鉄鉱石や原油の価格下落で業績が悪化。一方で、非資源に強い伊藤忠が堅調で、15年度に純利益で三菱商事を抜いて1位になった。

 年収を比べると、伊藤忠は5年前から8%増に対し、三菱は2%減。三菱は16年度に純利益で再び首位に返り咲いたが、両社の年収差は随分と縮まった。

 上位100社の顔ぶれをみると、54位の清水建設や61位の大林組など、建設会社が数多く入った。東京五輪開催が決まった13年から首都圏を中心に建設ブームが起きている。各社とも業績が好調で、賞与を中心に大きく伸びている。

 経団連がまとめた今年の夏季賞与・一時金の業種別妥結結果によると、建設は122万円。製造業平均89万円、非製造業平均84万円よりも高く、集計した約20業種で最も高かった。

 不動産業も、7位のヒューリック、19位の三菱地所、23位の三井不動産が上位に名を連ねている。

 今回の上位100社は16年度の数値をもとにしたが、5年前の11年度と比べるとどのように変わったか。

給料が大きく上がった会社と下がった会社の一覧を掲載した。HD制への移行など、組織再編によって従業員数が大きく変わった会社も多いため、比較的変動の少ない5千人以上の会社に絞って比べている。

 最も上がった企業は、精密機器メーカーのセイコーエプソンで約20%増。11年度の659万円が、16年度に793万円に増えている。リーマン・ショック後に業績不振に一時苦しんだが、近年は東南アジアや中国でのプリンター販売などが好調だ。同社は「業績が回復し、賞与が増えている」という。

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