怖さの質が違う? 春風亭一之輔が考えた「一行怪談」は深いのか (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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怖さの質が違う? 春風亭一之輔が考えた「一行怪談」は深いのか

連載「ああ、それ私よく知ってます。」

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春風亭一之輔氏は小さいころ、夏休みには必ず心霊現象や現代の怪談の再現ドラマを家族と見ていたそうだが…(※写真はイメージ)

春風亭一之輔氏は小さいころ、夏休みには必ず心霊現象や現代の怪談の再現ドラマを家族と見ていたそうだが…(※写真はイメージ)

 落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は、「怪談」。

*  *  *
 私が小さいころ、毎年夏休みには日本テレビの『おもいッきりテレビ』で『あなたの知らない世界』というコーナーがあった。内容は心霊現象や現代の怪談の再現ドラマ。心霊写真を検証したり。

 正午からは家族が必ずそれを見ている。怖いのが苦手な私は番組が終わるまでちゃぶ台の下に隠れて、耳をふさいでいた。

「新倉イワオ」というおじさんが心霊現象についていろいろと解説をしている。

「この男は死神博士! あの世からの使者にちがいない!」

 と私は忌み嫌ってた。新倉のせいで『笑っていいとも!』を見ることができない。

 ただ『笑点』を見ていても、オープニングロールに「構成 新倉イワオ」と出てくる。いつも楽しい『笑点』になぜ死神博士の名が出てくるのか不思議。邪魔するな! 死神! 聞けば、新倉さんは『笑点』の立ち上げ以来のスタッフなんだそうだ。大変失礼しました……。

 以前『一行怪談』なるナレーションの仕事をした。ワンセンテンスで終わる、ごく短い怪談噺。例えば……、

「深夜に友人から電話があり、『今から会えないか』と言うので、『いいよ』と言って電話を切ってすぐに、彼は先週事故死したことを思い出した……」

 みたいな。

 これを低い調子で間をとって喋ると、読み手からしてもけっこうゾクッとする。短文だと余計にイメージが膨らむのかも。

 同じテンポの短文を同様の調子で語ると、当たり前のどうってことない内容でもゾクッとくるのではないだろうか? ちょっと暇潰しにやってみよう。

(1)「店員が『ポイントカードはございますか?』と聞くので、食い気味に『ありません』と答えると、『大変失礼しました!』と謝られ、『謝るほどのことか?』と釈然としないまま、店を出た……」

(2)「『次、外すぞ』とキャッチャーが囁くので、『その手は食うか』と振りにいくと、やはり外され、『俺、野球に向いてないのかな?』と、帰宅してから妻にグチをこぼした……」


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