――妻の実家は建設会社を経営。一人っ子の妻は大学卒業後、臨床検査技師として病院で働いていたが、父の会社が人手不足になったため、職を辞して入社した。経理や総務など経営に携わるようになっていた。

妻:父が副業で、いくつか飲食店を経営していたんです。彼はそこにもよく顔を出してくれてね。

夫:歌がヒットしたり、ドラマに出たりし始めたころでしたが、舞台を応援してくださるお客さまは何より大事ですからね。

妻:ファンのほうも家族ぐるみで見に来ている人が多くて、家同士のお付き合いも広がって。

夫:いろんなご家族がいたなあ。税理士さん、薬屋さん……。

妻:急に売れ始めたものの、彼はあくまで劇団の一員。まだ事務所がなかったんです。それで急きょ、税理士さんのご家族などと一緒にマネジメントや経理を担当する体制を整えたんです。

夫:それが、個人的に話をするようになったきっかけだったかな。

妻:そうね。

夫:そのうち、彼女のお父さんから「うちの娘をもらってくれないか」と。

妻:もちろん、お付き合いも始まってましたけど。

夫:お父さんが言ったよね。「富美男は芸能人だよ。付き合いもあるし、ちょっと女遊びしたからって、浮気だと騒ぐようなら、結婚はうまくいかないから、やめておきなさい」って。

妻:そうそう。そのくせ、結婚したとたんに……。

夫:そう! 「富美男、女はダメだぞ。いいか!」なんて(笑)。でもそれが親ってもんですよ。ありがたいよね。それはそうと、結婚しようと思ったのは、彼女は僕にないものを持ってるな、と思ったからですよ。

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