
歯に衣着せぬ物言いでテレビで見ない日はないほど人気の夫、梅沢富美男さん。彼を支える妻の池田明子さんは、家族の健康にも役立てたいと、植物療法士の仕事に打ち込んでいる。役者とその女房のリアルな夫婦像とは……。
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夫:夫婦げんかはほとんどしたことがないですね。
妻:そうですね。日常のささいな言い合いはありますけど……。もうだめだ、みたいなことはないですね。
夫:最近の大げんかはあれだ、娘の婚約の件で。
妻:もう1年以上前ですよ。
夫:朝の7時半に人のこと起こして、いきなり「長女が結婚したいって」って。
妻:だって、あなた、全然家にいないんだもの。帰ってきても話をする時間もないぐらい忙しくて。
夫:それにしたってお前ね、そういうことはちゃんと、夜にでも夫婦二人きりで話し合うべきことじゃないの? それを起き抜けの出し抜けで。
妻:はいはい。
夫:それともなにか、どさくさの寝ぼけまなこで「うん、わかった」って認めさせようって作戦か?
妻:あははは。まさか。
――出会いのきっかけは美容院で見かけた雑誌
妻:私の母が美容院の雑誌で、この人が載っていた記事を見たんです。
夫:大衆演劇の世界では売れてましたけど、ようやく一般の方にも知られるようになったころでしたね。
妻:祖母がね、大衆演劇が好きだったらしいんです。戦後すぐの、まだテレビも普及していないころ、三軒茶屋に芝居小屋があって。幼かった母も、連れていってもらった記憶があるらしいんですよ。
夫:あれは「アサヒグラフ」だったか?
妻:たぶんそうね。それで「まだあるのねー」って家族で話題になって。私もその雑誌、見たんです。銀行で(笑)。
夫:それで、見に来てくれたんだよな。
妻:面白くて楽しくて。それに、彼がいろんな役を演じ分けるんだけど、あまりの変身ぶりに、同じ人がやってるとは思えなかった。
夫:それから家族みんなで見に来てくれるようになったんです。