「可能性十分。チャレンジを」と松居にエールを送るデーブ氏 (C)朝日新聞社
「可能性十分。チャレンジを」と松居にエールを送るデーブ氏 (C)朝日新聞社

「ビジネスの拠点をアメリカに移したい。アメリカで人生の勝負をしたい」

 松居一代は、ブログや動画で語ってきた。最近はYouTubeにも、全編英語での動画をアップ。夫で俳優の船越英一郎に対する告発動画の背景をニューヨークの街並みにするなど、思いは強いようだ。

 だが、彼女は日本では有名でも、米国ではまったくの無名。どの分野に進出するのだろうか。日本でも経験のある、テレビショッピング業界というのが最も有力な説だ。放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏にその可能性を聞いた。

「米国では最初から有名でなくても、ぜんぜんかまいません。行かないでクヨクヨ後悔するよりは行ったほうが、絶対いい。成功する可能性が十分あります」

 と太鼓判を押す。というのも、松居には商品開発の実績があるからだ。

「ゼロからの出発ではない。テレビの紹介映像で『日本で女優として有名』『日本の開発の名人』というカットが30秒くらい流れれば、いいと思います」

 松居はこれまで、掃除グッズの「マツイ棒」、圧力鍋の「マツイ鍋」、包丁、キッチンナイフ、靴、せっけんなど22品目もの商品を企業と組んでプロデュースしてきた。

「米国ではたぶん『マツイ棒』は『マツイ・スティック』になる(笑)。視聴者は90%が女性です。値段が高すぎたり、すでにある商品と似ていたりするものはダメ。松居さんはオリジナルのアイデア商品で勝負するので、基本的に歓迎されると思いますよ。包丁をはじめ日本製の商品はとても評判がよく、それだけでも有利」

 テレビショッピング発祥の地である米国では、QVC(クオリティ・バリュー・コンビニエンス)、HSN(ホーム・ショッピング・ネットワーク)など多数の企業が競う。中でも最大手のQVCは、日本、ドイツ、イギリス、フランス、中国など世界各地で展開する。

「みんなQVCをめざしている。24時間生放送でやっていますので、絶えず、新しい商品あるいはクリエーターが必要とされています。無名でも、キャラがいいとか、熱心、あるいははしゃぎっぷりがおもしろいとかで、途中から人気が出てくる人もいます。QVCで成功すれば、各国のメディアの取材だって殺到することが予想されます」

 ぶっとんだ松居のキャラクターは意外と人気者になれるかもしれない。ただ、問題は英語だ。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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