都議選で自民党の意外な弱さに気付いた作家の室井佑月氏は、これからの政局に注目する。

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 都議選でわかったことは、公明党の協力がないと、自民党はそんなに選挙が強くないってこと。

 選挙前は、公明党抜きで勝負するいい機会だ、なんていっている自民党の議員もいたけどさ。んでもって、憲法改正に慎重な公明党なんて与党から外してしまえ、考え方の近い維新と連携すればいい、なんていっている人もいたけどさ。もうそんなことはいえないな。

 7月3日、官邸で政府・与党連絡会議が開かれた。その様子がテレビに映っていたが、公明党の山口代表がほかの自民党の方々と交ざって、難しい顔をしていた。自民党の方々と目が合うと噴き出してしまいそうだから、始終、山口さんは俯(うつむ)いておったのか?

 山口代表は神妙な面持ちで、

「国政と都政は別だと、安倍晋三首相と確認した」

 そう記者団に語った。ま、一応、ここではそういっておかないと、うるさそうだもんね。

 案の定、その2日後の5日、山口代表は記者会見で、安倍首相が意欲を示す憲法改正について、

「政権が取り組む課題ではない」

 とはっきりいったぞ。

 山口代表は憲法改正について、

〈衆参両院の憲法審査会で各党の合意をつくり、国民の十分な理解を得ることが必要だと強調。「与党の枠組みはただちに憲法の議論につながるものではない」との認識を表明した〉
〈山口氏の発言は改憲を優先課題に掲げる首相をけん制したもので、改憲論議や衆院解散戦略に影響を与える可能性がある〉(7月5日付日本経済新聞電子版)

 
 公明党については与党でいたい病気だなどという人もいるが、こういう局面になった場合、与党でいる公明党に、あたしは少し期待してしまう。

 安倍さんが改憲勢力で議席3分の2を持っているうち、最後の悪あがきで、なにをするかわからないからだ。もういいんじゃね? いいなりにならなくても……。そう考えているのだったら嬉しい。

 これからしばらく、公明党の動きから目が離せない。公明党をぎゅっと見ていれば、この先、なにがどうなっていくかがわかるかも。

 安倍さんが総理となり、もっともやりたかったことは改憲だ。そこにNOを突きつけたということは、安倍政権はもう終わりだって認識でよろしいか? じゃ、公明党は次にどこの誰と組むの?

 願わくば、国民の側についてもらいたい。

 ともに貧しい人たちの味方であるという、公明党と共産党。彼らは、なぜあんなに仲が悪いのだろうか?

 仏敵? 政敵? よくわからんが、都議選でも激しくやり合っていた。だが、この二つの党はともに選挙にかなり強い。真に国民の側につく、ということでタッグを組むことはないのだろうか。

 そうなったら相続税もまともに払わん、アホな世襲を一掃できると思うのだが。

週刊朝日 2017年7月28日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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