毛量や髪の長さ、髪質にもよるが、参考までに佐藤さんの“私流”を記すと、こんな具合だ。

 まず、ヘアマニキュアは濃いめのダークブラウンと明るめのブラウンの2色を用意。塗り方はおおまかに、後頭部から襟足に向かってはダークブラウン、頭頂部は明るめのブラウンを中心にくしでとかしながらミックス。前髪だけはあらかじめゴムで結んでおいて、白髪を残すようにする。頻度は3週間~1カ月に1回程度。1回で使うヘアマニキュアの量は、1本の4分の1程度だ。

「銘柄や置き時間、色合いのバランスなど、自分でいろいろ試してみるといいですよ」

 こうしたグラデーションヘアは、カラーをやめて地毛に戻す移行期にもお薦めだ。伸びた分だけ白髪がくっきり目立つ“逆プリン”状態が長引くのは、できれば避けたいところ。東京・恵比寿の美容室「Nuuds」マネジャーの根田尚子さんも、移行期のカムフラージュとして、グラデーションヘアを薦める。

「ヘアカラーで白髪と黒髪の中間色となるブラウンを加えることで自然な印象になります。メッシュ状に、縦にブラウンを入れながら移行するのもお薦めです」

 根田さんは、白髪にお薦めの髪形として、レイヤーを多めに入れたショートヘアを挙げる。カットのポイントは、トップにボリュームが出やすく、毛流れがつきやすい形だ。一般的に年齢とともに髪の毛が細くなり、ペタンとした印象になりがちだが、ボリュームを出すには部分的にパーマをかけるのも手。カラーをやめれば、髪への負担は抑えられる。

「年を重ねると、色よりボリュームが大事と、カラーよりパーマを選ぶ人も多い。ショートヘアはこまめなカットが必要ですが、ボリュームを出しやすく形が決まりやすい。白髪世代にこそおススメ」(根田さん)

 白髪そのものをきれいに見せる裏技もある。一般的に日本人の白髪は“黄ばみがち”とされるが、反対色を足すことで美しい白髪を演出することができるという。

「黄ばみを抑えたい人は紫を少し、透明感を出したい人は青の色味を少し足すと、白髪がぐっときれいに見えます。濃度は個々の髪質や毛量にもよりますが、0.2%とほんのわずかの色味でもぐっと美しさが増しますよ」(根田さん)

 白髪だからこそできるおしゃれもたくさんある。増える白髪と毎日にらめっこしているそこのあなた。カラーをやめれば、新たな世界が開けるかも?

週刊朝日  2017年6月30日号