鵜飼弘子さん。鵜飼さんは初の著書『おしゃれの道しるべ』(主婦と生活社刊)を出版したばかり(撮影/和田直美)
鵜飼弘子さん。鵜飼さんは初の著書『おしゃれの道しるべ』(主婦と生活社刊)を出版したばかり(撮影/和田直美)

 今、白髪やグレーヘアをおしゃれに楽しむ女性が増えている。「顔色が明るく見える」「似合う服の幅が広がる」など、白髪ならではのメリットを挙げる声も多い。「白髪=老い」というイメージは、もはや古い。白髪こそ、大人のおしゃれの象徴という時代がやってきた。

 愛知県でセレクトショップを営む、鵜飼弘子さん(75)。真っ白い白髪に、ふんわりとしたショートヘアが印象的な女性だ。カジュアルなスタイルを得意とするファッションセンスにはファンが多く、店には全国から顧客が足しげく訪れる。その人気ぶりから、4月には、初の著書も出版した。鵜飼さんは、自身の白髪についてこう話す。

「今のヘアスタイルはとても気に入っています。顔周りも明るく見えるし、髪にも優しいし、もう白髪染めには戻れません」

 鵜飼さんが白髪染めをやめたのは5~6年前のこと。30代で白髪が出始めて以来、長くカラーをしてきたが、年を重ねるにつれて頭皮が敏感になってきたことから、思い切って染めるのをやめた。

「店でお客さんのパンツの裾直しなんかをするときにしゃがむでしょ。上から見下ろされると、すぐに白髪に気付かれるのも気になって。隠すのはやめて、白髪を楽しもうと決めました」

 当時は今より短いベリーショート。だからカラーした髪と地毛とが交ざる“まだら”もさほど気にならず、1~2回カットするうちに、完全な白髪に移行した。今では白髪ヘアこそ自分のスタイルと胸を張る。

「私にとって、ヘアスタイルはおしゃれの土台となるもの。特別に手をかけることはしないけれど、年に合った今の自然な髪色が私のベースになっています」

 30年近くファッションの世界に身を置いてきた、服飾ディレクターの岡本敬子さん(53)も「早く真っ白になりたい」という。髪が真っ白になると、服装でも色使いの楽しみが増えて、「ファッションの幅も広がりそう」と構想中だ。

「また違う自分に出会えるのが、今から楽しみなんです」

 そう話す岡本さんも、30代で白髪を発見したときは「号外を出したいくらい、大ショック」だったという。

次のページ