司馬遼太郎展では多くの著作が地図や資料とともに展示されている(撮影/写真部・小林修)
司馬遼太郎展では多くの著作が地図や資料とともに展示されている(撮影/写真部・小林修)

 没後20年司馬遼太郎展「21世紀“未来の街角”で」が6月2日、そごう横浜店6階の「そごう美術館」で始まった。7月9日まで。

 展示は3部構成で、まずは「戦国動乱 16世紀の街角」。『城塞』『播磨灘物語』の自筆原稿などを展示。『国盗り物語』の斎藤道三の遺言状を司馬さんが書き写した色紙もあった。国を奪い最後に奪われた男のはかなさが伝わる。

 次が「維新回天 19世紀の街角」で、『竜馬がゆく』の坂本龍馬の手紙(以下複製)、『燃えよ剣』の土方歳三の鉢金、『新選組血風録』の近藤勇の髑髏模様の稽古着もあった。『花神』大村益次郎の緻密な数学ノート、『峠』で河井継之助が頼りにしたガトリング砲(模型)なども楽しめる。

 最後は「裸眼の思索 21世紀の街角」。『街道をゆく』『この国のかたち』『風塵抄』がテーマで、小学生に向けた「二十一世紀に生きる君たちへ」も重要なモチーフとなっている。

<君たちだけが持っている大きなものがある。未来というものである。私の人生は、すでに持ち時間が少ない。例えば、二十一世紀というものを見ることができないにちがいない>

 そして未来の街角で、

「二十一世紀とは、どんな世の中でしょう」

 と聞いてみたいと、司馬さんはかつて書いていた。

 司馬遼太郎記念財団の上村洋行理事長はいう。

「会場全体が21世紀の街角ですね。司馬遼太郎との対話を楽しんでください」

 そこで「街道をゆく」の最後の担当記者として久しぶりの対話をしよう。

「21世紀になって、トランプが現れ、大変ですよ」

「そうかね。でもアメリカ人らしい話だぜ」

 明快にアメリカ気質を分析してくれただろう。

週刊朝日 2017年6月16日号