“大見得”に「倍返し」も 「半沢」だらけの「小さな巨人」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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“大見得”に「倍返し」も 「半沢」だらけの「小さな巨人」

連載「てれてれテレビ」

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(c)カトリーヌあやこ

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 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、「小さな巨人」(TBS系 日曜21:00~)の設定や出演者にツッコミを入れる。

*  *  *
「半沢直樹」のヒット以来、TBSの日曜夜9時に定着した「倍返し」フォーマット。叩き上げvs.エリートの確執、組織内部の腐敗、虐げられた主人公が耐えて耐えてドーン! 宿敵に倍返しして大団円だ。

 今回の舞台は警察。エリート刑事・香坂(長谷川博己)は、とある事件をきっかけに所轄へ左遷される。これは罠か、はめられたのか? 捜査一課長・小野田(香川照之)は敵か、味方か。てな物語が、迫りくるおっさんの顔面と、セリフ大声合戦で繰り広げられる。

 香川なんて「半沢」で味しめたのか、大見得きりまくり。「この警視庁捜査第一課長、小野田義信の目を見て答えろおおお」って、お前だけ時代劇か。ひとり圧迫面接か。とにかくくどい、うるさい、顔が近い。

 この香川と対峙する場面、ハセヒロはじめ他の役者も負けじと青筋立てるから、画面はもう胸やけ感でいっぱい。早く、早くスッキリ倍返しして!と見てるのに、いまひとつ展開がモヤモヤするのはなぜか。

 それはもしかして、決めゼリフ問題じゃないのか。「半沢」の決めゼリフと言えば、ご存じ「倍返しだっ」。しかし、この香坂の場合……。組織内に内通者がいる。それは警察署長の三笠(春風亭昇太)ではと疑った香坂は「あなたは100%クロです!」と、面と向かって言い放つ。その根拠とは?

「私のカンです!」。山田くん座布団全部取っちゃって。

 ビルから転落した被害者が持っていた証拠のUSB。その破片が現場に落ちていたはず。カンです。鑑識が入る前に、その破片を三笠署長が持ち帰ったはず。そして、破片を署長室に隠してるはず。カンです。でもやっぱり机の引き出しじゃバレバレなんで、証拠品室に隠したんじゃないか? もちろんカンです。

 香坂のカンを頼りに、所轄のみならず捜査一課も総出、血眼で破片を捜索する。タイムリミットぎりぎりで「みつかりましたー!!」。やったぞ、やっぱり内通者は署長、事件も解決だーって、すべてカンで解決かよ! 意外な真実よりも、そっちにびっくりしたわ。

「半沢」は、カタキ役の香川が土下座するまでが最大のハイライトだったけど、いずれ香坂が真の巨悪を暴き出し、「倍返し」したとしても、心からスカッとできるか心配だ。だって、全部カンなんでしょ?

週刊朝日  2017年6月2日号


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カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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