就業看護師のうち訪問看護師が占める割合は、14年時点で3.35%の約3万6千人。訪問看護師のニーズが高まり、訪問看護ステーションは年々増えている。

 看護系学部・学科を設置する大学は、1991年度には11あり、定員558人だった。翌92年、看護師不足の対策として、「看護師等の人材確保の促進に関する法律」がつくられ、文部省(当時)も「看護系大学の整備・充実を一層推進していく必要がある」との方針を発表した。それ以降、看護系の大学数と入学定員は右肩上がりに増えた。

 06年度の診療報酬改定で、「7対1入院基本料」が導入されたことも看護師人気の追い風に。入院患者7人につき看護師1人以上を配置する病院に対し、一患者あたり1日1万5550円が支払われることになり、看護師争奪戦が始まった。

 看護系学部・学科を新設する大学は一昨年15、昨年6、今年11。今や大学数は約250に増えた。定員数は91年度と比べ、約40倍まで増えた。

 大学通信の安田賢治ゼネラルマネージャーは、看護系学部人気をこう語る。

「新入生が卒業するのは21年春。東京オリンピックが終わって景気減退が予測されています。将来を見据え、看護系学部・学科が人気なのだと思います」

 志願者数を昨年と今年で比べると、同様に資格を取得できる歯学部は1.8%減、薬学部は1.7%減。看護系学部・学科は1.2%増だった。国公立大は0.2%減だが、私大が8%増。安田さんはこう話す。

「理高文低(理系人気・文系不人気)が長らく続きましたが、一昨年ごろから文系人気が回復しています。理系志願者が軒並み減るなかで、看護系は文系でも受験できる大学があります。志願者増の理由のひとつだと考えられます」

 17年入試で志願者数が大きく増えた大学と志願者の伸び率が高かった大学をまとめた。

 志願者増加数1位、伸び率2位の聖路加国際大看護学部長の松谷美和子教授は、人気の理由をこう分析する。

次のページ