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テレビ業界への愚痴があらわに!? ドラマ「やすらぎの郷」は全然やすらがない…

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(c)カトリーヌあやこ

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 漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこ氏は、「やすらぎの郷(さと)」(テレビ朝日系 月~金12:30~)に込めた脚本家・倉本聰氏のメッセージを読み解く。

*  *  *
 脚本家・倉本聰がシニア世代に贈る帯ドラマが始まった。長年テレビや映画界に貢献した選ばれし者だけ(ただしテレビ局の人間はだめ)が入れる老人ホーム「やすらぎの郷」。

 認知症だった元女優の妻(風吹ジュン)を看取った脚本家・菊村(石坂浩二)は、入居の誘いを受ける。

そのホームで彼を待ち受けるのは、リアル豪華女優陣。石坂の元妻・浅丘ルリ子をはじめ、八千草薫、有馬稲子、野際陽子、五月みどりに加賀まりこ、とキャストはほとんど70歳以上。それぞれの登場場面には、必ず若い頃の写真が添付され、往年の美貌を懐かしみつつ、時の流れの残酷さを噛みしめる仕様になっている。

 昼の帯ドラマで、こんな大御所揃いのワガママ押し通せるのは倉本先生だけ!というか、このドラマ、現在のテレビ業界に対して、先生がためこんできた愚痴と不満が思いっきりぶちまけられていて、全然やすらぎどころじゃない。

 いわく「テレビを今のようなくだらないものにしたのは、テレビ局そのもの」。ドラマを作ったところで高齢者の出番はなく、「Jプロにいいようにいじられ」てしまうって、ジャニーズか、ジャニーズのことか! こんな大手をふって業界に物申せるのも倉本先生だけ。

 さらに自分を投影した主人公・石坂は、業界以外のことにもキレまくる。自宅の庭でたき火をして何が悪い! 禁煙ふざけんな! 息子に「煙草はほどほどに」と注意されたら、「俺と煙草の付き合いは、お前との付き合いよりよっぽど長いんだ!」って大激怒。おじいちゃん、落ち着いて!と、思わず言いたくなる昼下がりの小言タイム。

 だいたい業界の功労者しか入れない老人ホームって設定も、ベテラン俳優や作家たちの老後を「お前らもっと考えろよ、リスペクトしろよ!」という先生の心の叫び? 広さ東京ドーム30個分、海の見える丘に建ち、温泉、レストラン、娯楽施設、病院を併設し、すべて無料の「やすらぎの郷」。往年の名女優たちに囲まれ、「先生、私のために脚本(ほん)を書いて!」と迫られる夢のような日々。

 あまりにいたれり尽くせりすぎて、「世にも奇妙な物語」を見てる気分に。すべては認知症の石坂が死ぬ直前に見た幻で、登場人物全員すでに死んでいるってエンドが来ても大丈夫なよう、身構えてるから。

週刊朝日  2017年4月28日号


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