会見する小池都知事 (c)朝日新聞社
会見する小池都知事 (c)朝日新聞社

 小池百合子東京都知事に決断の時が迫っている。土壌汚染問題が収まらない豊洲市場への移転か、築地市場に残留し、再整備の道を選ぶのか。ただ、その築地でも東京五輪を巡って「不都合な真実」を抱えていることが発覚。「究極の選択」を前に、都知事の決断やいかに。

 百条委での「真犯人捜し」が難航する築地市場。

 だが、市場のある業者は「百条委もいいが、知事が早く移転問題の結論を出してくれないと困る」と憤る。

 豊洲移転の是非について、小池知事はいまだ結論を出していない。ブレーンらの間でも意見が分かれており、移転問題を検討するための「市場のあり方戦略本部」は、4月3日にようやく1回目の会合が開かれたばかりだ。

 そんな中、小池氏のブレーンの一人である「市場問題プロジェクトチーム(PT)」の小島敏郎座長(青山学院大教授)が3月29日の会合で「ウルトラC」とも言える案を打ち出した。

 この案は築地市場の現地再整備が期間7年、総額500億~800億円という“格安価格”で可能だというもの。

 ただ、築地の現地再整備は1990年代にも一度試みられたが、総額3400億円かかるとされ、工事が長期化し途中でとん挫した経緯があるだけに、実現可能かどうかが焦点となる。豊洲移転賛成派の市場業界団体幹部は小島案を「机上の空論だ」と、こう批判する。

「90年代には市場を6分割して業者が順番に仮設店舗に移って少しずつ建て替えていく計画だったが、どこが先に仮設にいくかなど業者間の調整が難航し、結局、一つ目の工区さえ着工できずに終わった。またあのときと同じことになる恐れがある。それに、古い建物も一部残る小島案では市場の老朽化という根本的な問題は解決せず、近い将来、また建て替えなどの課題に直面することになる」

 この市場幹部は、さらに驚くべき懸念を口にする。2020年の東京五輪の選手村に、日本の食文化の象徴であるはずの築地市場の食材が納入できない恐れがあるというのだ。

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