ただし、心臓ペースメーカーや除細動器などが植え込まれている人、人工膝関節・股関節や装具などが腰部周辺から下肢の間に留置された人、また妊娠継続や胎児への影響が不明なため、妊婦もこの治療を受けることができない。

「磁気刺激療法は、切迫性尿失禁の治療の一つとしてとてもいい選択肢だと思います。しかし残念ながら、重症の患者さんには思うような効果が得られない印象があります」(同)

 腹圧性尿失禁がひどい場合は、人工素材のテープで尿道を支えて尿漏れを防ぐ「中部尿道スリング手術」が有効だが、切迫性尿失禁の場合は有効な手術療法はない。しかし現在、新しい治療法の治験がいくつかおこなわれているという。

「たとえばボツリヌス毒素を膀胱壁に注射する方法や、電気刺激を与える仙骨神経刺激療法(便失禁では保険適用)が難治性の過活動膀胱の治療法として期待されています」(同)

 腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁ともに、日常生活の見直しも大事だ。肥満や便秘は尿漏れの悪化要因。食生活では栄養バランスに気をつけ、食べすぎないのが基本。また尿漏れで悩んでいる場合は、水の飲みすぎにも注意しよう。

「大まかな目安ですが、冬なら1日1リットル、汗をたくさんかく夏でも1日2リットルとれば十分です」(関口医師)

■ピフィラティスでのスクワット
1.足を肩幅(骨盤臓器脱の人は腰幅程度)に開き、両足先は少しだけ外に向ける。ひざが足先と同じ方向に向くように、ゆっくりと3回腰を落とす。そのときなるべく、ひざがつま先よりも前に出ないように注意する。
2.3回目に腰を落としたら、そのままの状態で3秒間キープ。
3.その後「フッ、フッ、フッ」と3回息を吐きながら、腰を上下にバウンドさせる。この弾むような動きがポイント。1~3を朝晩3回繰り返す。

週刊朝日 2017年3月3日号