男性局部切断事件に東条英機の自殺未遂…「週刊朝日」で見る戦中戦後 (2/4) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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男性局部切断事件に東条英機の自殺未遂…「週刊朝日」で見る戦中戦後

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週刊朝日
殺人などの容疑で逮捕され、連行された阿部定 (c)朝日新聞社

殺人などの容疑で逮捕され、連行された阿部定 (c)朝日新聞社

 創刊の翌年9月には関東大震災があった。9月16日号では、米英中が盛んに救援運動をしていることを挙げ、「権力闘争に逆転しつつあった世界は、ここに初めて国境以上のあるものに崇高な任務を発見し、人類一致の努力を捧げている」「この博愛精神を如何にすれば人類常時の糧となしうるか」などと主張している。各国がこぞって軍拡を進めた時代。震災報道にも、国際的緊張の高まりがうかがえる。

 本誌は「世人の便益向上、ご慰安を理想として生まれた」と記録されるが、現在の多くの週刊誌と同様、男と女の業には古くから敏感だった。

 36年5月には「『わたしのあなた』事件」との大きな見出し。仲居だった女性が愛人の男性を殺害して局部を切り取った「阿部定事件」の詳報である。事件前後の定の足取りを追跡し、イラストで図解する凝りよう。凄惨(せいさん)な現場の描写、「好きでたまらないから殺してあたしのものにしたのよ」「あたしのものになっちゃったんだから」といった定の言葉、彼女の生い立ちをまとめた誌面は、今でも読み応え十分。約80年後の2015年8月、弁護士が不倫相手の夫に局部を切断された事件の記憶と重なる。

 31年の満州事変を経て日中戦争は泥沼化していく。ドイツのヒトラー、イタリアのムソリーニの台頭で欧州の危機が叫ばれた39年5月には、軍事評論家の伊藤正徳(後の共同通信社理事長)▽東京帝大教授の今井登志喜(西洋史学)▽法大教授の堀真琴(後の参院議員)▽ダイヤモンド主筆の野崎龍七▽外交評論家の清澤洌(『暗黒日記』の著者)──による座談会を実施。独伊英仏の外交、経済、人口、軍備といった面から、列強の行方を分析している。

「独伊、英仏が均衡を保てば平和的な方法で方向転換すると思う」(堀)、「ヒトラーにもムソリーニにも今はまだ戦争の意思はない」(清澤)との見方が大勢を占め、「切迫はしておらぬ」と見出しを立てた。仮に戦争になれば、日中戦争をしている日本は「参戦すべきでない」としている。


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